産後うつとは?症状や原因、対処法について
待ちに待った赤ちゃんが生まれ、喜びや幸せでいっぱいのはずのこの時期。 でも、気分が落ち込む、なにもやる気が起きない、眠れない、食欲がない、赤ちゃんを可愛いと思えない、などの症状が出るママもいます。 このような症状を感じたら、それは産後うつかもしれません。産後うつとは?産後うつの症状や原因、対処法、男性の産後うつ、家族が産後うつになった時の対処法についてご紹介します。
目次
産後うつとは?
産後うつ 症状とサイン
産後うつの原因
産後うつになりやすい人の特徴
産後うつとマタニティブルーの違い
産後うつ治し方
産後うつ いつからいつまで?
治療しないとどうなる?
赤ちゃんへの影響は?
父親の産後うつ
周囲の人ができるサポート
産後うつとは?
産後うつの症状は出産後、数週間~数ヵ月以内に発症することが多いです。 2週間以上、食欲がない、気分が落ち込む、眠れない、なにもやる気が起きずにネガティブな感情や思考が続くような状態が続きます。このような症状が現れると、自分自身や赤ちゃんのお世話などの日常のタスクをこなすことが困難になることがあります。
出産後1 ヵ月以内に発症することが多いと言われていますが、場合によっては1年後に発症することもあります。 一般的には半年から1年、長ければ2年以上も症状が続くこともあります。初めての出産に限らず、2回目以降の出産でも産後うつは起こり得ます。
赤ちゃんを産んで育てると言うことは大変な仕事です。 新しい家族が増えて、疲れや睡眠不足が続く中での赤ちゃんのお世話は本当に大変ですね。 出産後のママの身体や心はホルモンの影響で不安定な状態です。 慣れない子育てで負担やストレスを感じるのは当然のことですね。でも、これらの感情や状態がより深刻で長期間続く場合は、産後うつの可能性があります。
産後うつは病気なので、早めの発見や治療が大切です。 治療が始まると必ずよくなります。一人で頑張ったり悩んだりしないで、お医者さんや子育て支援センター、心療内科などの専門家と話をしてみましょう。
産後うつになる確率は?
日本では出産した女性の10~15%前後が産後うつを経験しています。 治療や休養で症状は改善します。産後うつかもしれないと感じたら、お医者さん、助産師さんや看護婦さんに相談してみましょう。
産後うつの症状や兆候
産後うつを発症していても、本人や周りが気がつかないこともあります。産後うつの主な症状には以下のようなものがあります。
理由もなく泣いてしまう
過剰に不安や心配を感じる
いつも憂鬱で楽しいと感じない
激しい気分の浮き沈み
口数が少なくなる
何もやる気が出ない、無関心になる
赤ちゃんとの絆を感じられない、赤ちゃんを可愛く思わない
家事や子育てができず、良い母親ではないと感じる
食欲がなくなる、または過食
不眠または過眠
極度の疲労感
集中力がなくなる
育児や家事などの日常のタスクをこなすことが困難
家族や友人と会いたくないと感じる
神経質になる
自分や赤ちゃんを傷つけたいという思考
死や自殺に関する反復的な思考
産後うつは病気なので、早めの治療が大切です。 これらの症状に気がついたら、お医者さんや保健師、子育て支援センターにまずは相談してみましょう。必要に応じて、精神科や心療内科の病院を紹介してくれるでしょう。
以下の症状を感じたら、できるだけ早く、お医者さんに連絡しましょう。
上記の症状が2週間以上も続く
時間とともに症状が悪化している
自分自身や赤ちゃんのお世話を含め、日常生活が困難
自分や赤ちゃんを傷つけたいという思いを感じる
産後うつの原因
産後うつが発症する正確な原因は判っていません。 出産後のホルモンバランスの変化、環境や生活パターンの変化、家族やパートナーが協力的でない、などが原因として考えられます。産後うつを発症する主な原因を以下にまとめました。
ホルモンの変化: 産後はエストロゲンやプロゲステロンなどの妊娠ホルモンが急激に減少します。ホルモンの変化で心や身体が不安定になっている可能性が考えられます。
睡眠不足: 出産は大きな仕事です。 ママの身体はまだ出産後の回復をしている途中です。家事や数時間おきの赤ちゃんへの授乳などで睡眠不足となり、疲れやストレスで産後うつの症状が出てくることがあります。
感情的な問題: ホルモンの影響で情緒不安定になることがあります。産後は大きな感情の変化を感じる時期です。
産後うつになりやすい人の特徴
産後うつになりやすい人とはどのような人なのでしょう?産後うつを発症しやすい人の特徴をまとめました。
妊娠中にうつ病を経験した
月経前症候群(PMS)を経験している
望まない妊娠やシングルマザー
家族の中にうつ病や精神障害を患う人がいる
大きなストレスを感じることがあった(妊娠に関係ないものも含む)
仕事への復帰などの環境の変化
双子や多胎児を出産した
早産
赤ちゃんに健康上の問題があったり、特別なケアが必要
授乳が上手くいかない
パートナーとの関係が良くない
周りのサポートが得られない
経済的な不安
双極性障害の既往歴
産後うつになるかも、と心配なママは妊娠がわかった時点で周りの人やお医者さんに伝えておくとよいでしょう。 自身に産後うつ病のリスクが高いことを知っておくことで、いざというときに周りを頼ることができて安心ですね。また、周りも注意してママの様子に気をつけてくれるでしょう。
産後うつとマタニティーブルーの違い
産後うつは、マタニティーブルーとは違います。 マタニティーブルーは出産直後~2週間ぐらいの間に出てくる変化です。 涙もろくなったり、イライラとしたり、眠れなくなったり、食欲がなくなったり、落ち込んだりする症状です。 出産後の25~30%のママに見られる症状ですが、1~2週間で自然に回復します。ママ自身や赤ちゃんのお世話などにそれほど支障をきたすものではないので、産後うつと比べて、特に心配するものではありません。
出産は女性にとってとても大切なライフイベントです。 出産後に気分が落ち込んだり、情緒が不安定になることは珍しいことではありません。 出産後はホルモンバランスや環境の変化で不安定になりやすいです。一人で頑張ったり、一人で心配や不安を抱えたりせず、パートナーや周囲のサポートを受けましょう。
産褥期精神病との違い
産褥期精神病は非常にまれで、1000人に1人の割合で発症すると言われています。 極端な混乱や拒食症状などの深刻な症状が出ます。重度の症状なので、精神科での治療が必要です。
産後うつ病の治し方
産後うつかもしれないと思ったら、早期発見と早期治療が大切です。 本人や周りが早く気がついて、できるだけ早くお医者さんや助産師さん、子育て支援センターに相談しましょう。 感じている症状や感情をメモして、お医者さんに伝えられるようにしておくと効率的です。お医者さんが治療薬を出してくれたり、症状によっては精神科や心療内科を紹介してくれるでしょう。
治療法には、カウンセリングや薬物療法があります。 抗うつ薬は脳内の化学物質のバランスをとることで気分の調整を助けます。心理療法では、専門家と話し合い、感情の管理方法についてアドバイスを受けることができます。
産後うつの症状を自分一人で治すことはできません。 お医者さんの治療と並行して、本人や周りの家族でできることはあるのでしょうか。以下の方法を試してみましょう。
健康的な生活習慣を維持する: 散歩などの軽い運動を取り入れましょう。ぐっすりと十分な睡眠を心がけ、休養を取り、バランスの良い食事をとりましょう。
一人で頑張りすぎない: 新しい生活や赤ちゃんとの生活に慣れる時期です。完璧を求めず、一人で頑張りすぎずにできる範囲で取り組みましょう。
自分の時間を作る: 誰かに赤ちゃんを見てもらい、自分の好きなことやリラックスできる時間を作りましょう。
友人や知り合いと話す: 孤立感を感じないよう、感じていることを家族や友人に話してみましょう。同じ経験をしている他のママと話をすることで、安心感を得られるかもしれません。
負担を分かち合う: パートナー、家族や友人に助けを求めましょう。料理や家事など、手伝ってもらえそうなことはないでしょうか。
大きな変化を避ける: 引っ越しや転職などの大きな生活の変化は、できるだけこの時期は避けましょう。
お医者さんのアドバイスに従う: 良くなったと感じても、自己判断で治療をやめてはいけません。薬は指示どおりに飲むようにしましょう。
産後うつは予防できる?
産後うつのリスクがあると感じている場合、予防策を講じることが助けになるかもしれません。 産後うつ予防には、妊娠中や出産後の精神的健康を医療機関で定期的にチェックすることが重要です。医師や助産師は、妊娠中から出産後にかけてあなたのメンタルヘルスを注意深く観察し、産後うつの初期兆候を早期に発見する手助けをしてくれるでしょう。
場合によっては、医療従事者が妊娠中や出産直後にカウンセリングや抗うつ薬の使用を勧め、産後うつの発症を防ぐサポートを提供してくれることもあります。赤ちゃんの誕生後、早めの 産後検診 を提案し、症状のスクリーニングを行い、必要に応じて早期に治療を開始することもあります。
自分のメンタルヘルスについて積極的に医療従事者とコミュニケーションを取ることで、産後うつ予防に大きな効果をもたらし、この新しい生活への移行期においてサポートを得られるでしょう。 忙しい日々の中でも自分を大切にし、リラックスする時間を持つことも重要です。
産後うつはいつからいつまで?
産後うつはいつから始まり、いつまで続くのでしょうか。 通常、産後うつの発症時期は出産後3ヵ月以内で、一般的には半年から1年、長い人で2年以上も症状が続くとされています。 産後うつを発症したら、治療と休養が必要です。 発症の状況や治療の計画によって、症状の軽減や回復期間は異なってきます。早期に発見して治療を受けることが大切です。
産後うつを放っておくとどうなる?
早期に適切な治療を受けないと、ママや赤ちゃんの命が失われたり、虐待のリスクが高まる可能性があります。 赤ちゃんとの親子の絆が育まれず、赤ちゃんの発達に影響を及ぼすこともあります。 産後うつの症状に苦しんでいても、病気のせいだとは思わないものです。 疲れる、眠れない、食欲がないなどの症状を、出産後の疲労や慣れない育児によるものと考えてしまいます。 育児に対する不安や自信がないことを 育児ストレス によるものだ、とママ自身や周りの人も思ってしまいます。「みんなが頑張って育児をしているのだから、私もがんばらないといけない」「赤ちゃんを可愛く思えないなんて、ひどい母親だと思われる」といった気持ちから、周りの人に相談することができないママもいます。
産後うつがもたらす子供への影響
産後うつが子供への影響を及ぼす可能性があります。 親子の絆は子どもの成長や発達にとても大切です。確かなことははっきりと判っていませんが、親子の絆が上手く形成できないために、赤ちゃんの脳や言葉の発達にも影響を及ぼす可能性があります。
父親の産後うつ
実は父親産後うつを経験することもあります。 1歳未満の子どもがいる家族のうち、メンタルヘルスに不調をきたすリスクがあったパパも10%ほどいると考えられています。育児への不安や責任によるプレッシャー、夫婦関係の変化、赤ちゃんとの絆を築くことへの不安、などが要因と考えられています。
症状には、怒りや苛立ち、家族や友人からの孤立感、笑わなくなる、仕事に行きたくなくなる、自分が不幸だと感じる、泣けてくるなどがあります。 ともに子育てをするパートナーの精神的な健康も、赤ちゃんの成長や家族全体の幸福にとって大切です。 家族と言うチームで助け合いながら、産後の大変な時期を乗り切っていきましょう
産後うつの家族にできることは?
産後うつは本人が気づいていないこともあります。大切な人が産後うつかもしれないと思ったら、すぐにお医者さんや地域の子育てセンターなどのサポートを求めるよう促しましょう。
産後うつは周囲が解決できるものではありませんが、解決に向けてサポートすることはできます。以下の方法を試してみましょう。
お医者さんの受診を促してみる
コミュニケーションをよくとる:お互いの感情や考えをシェアしましょう。
赤ちゃんの世話を代わりにして、リラックスできる時間を提供する
家事や子育ての分担を見直す
休息がとれるよう、赤ちゃんの世話を引き受ける
産後うつになるのは誰のせいでもありません。 もちろんママのせいでもありません。 出産後の身体の変化や新しくて慣れない環境が影響しています。 いずれにしても1人で頑張ったり苦しまないで、周囲のサポートを求めましょう。 周りの人にサポートをお願いすることを恥ずかしく思うことはありません。 周りの適切なサポートを得ることで、赤ちゃんとの大切な時間をより楽しめるようになり、みんなが幸せになります。産後になって相談先やサポートしてくれる人や施設などを探すのではなく、出産前から周りの環境やサポート体制を整えていると安心ですね。
本記事の内容について 本記事に掲載されている情報は、信頼のおける医療機関や政府機関からの情報にもとづいたものです。 参考及び参照のリンクにつきましては、以下をご参照ください。 また、掲載された内容につきましては十分な注意を致しておりますが、医療従事者などの専門的な意見に取って代わるものではありませんので、ご注意ください。 診断や治療法につきましては、必ず 医療従事者などの専門的な意見を聞いていただきますよう、お願い申し上げます。
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