子宮口が開くってどんな感じ?
子宮口とは、妊娠・出産において重要な役割を果たす子宮の出口部分であり、分娩の進行を判断する大きな指標です。出産時にはこの子宮口が最大10cmまで開くことで、赤ちゃんが産道を通って誕生する準備が整います。以下のようなポイントを押さえておくと、子宮口に関する理解が深まります。
子宮口の基礎知識
通常は閉じているが、出産が近づくと徐々に開く
10cm開くと「全開大」と呼ばれ、分娩第2期(赤ちゃんの誕生)へ
初産婦は開くのに10~12時間、経産婦は4~6時間が目安
子宮口の開きと分娩の流れ
分娩期 | 子宮口の状態 | 所要時間(目安) |
第1期 | 0~10cm開大 | 初産婦10~12時間、経産婦4~6時間 |
第2期 | 全開大(10cm) | 初産婦2~3時間、経産婦1~1.5時間 |
第3期 | 胎盤排出 | 約10~30分 |
子宮口の開きは痛みや不安を伴うこともありますが、リラックスと呼吸法が大切です。本記事では、子宮口の変化を中心に、分娩のステップや注意点をわかりやすく解説していきます。
子宮口とは?どこにある?
子宮口は子宮の下側にあり、子宮と腟がつながる部分のことを指します。子宮の出口部分、子宮にいた赤ちゃんが出て来る部分、と言うとイメージがわきやすいかもしれません。
子宮は、子宮体部と子宮頸部(けいぶ)の2つの部分に大きく分かれます。赤ちゃんを育てる部分である上側の膨らんだ部分が子宮体部、出産時に赤ちゃんの通り道となる下側の部分を子宮頸部と呼びます。
子宮口は子宮頸部の上と下にあります。子宮体部と頸部の境目にあるものを内子宮口、子宮頸部と腟の境目にあるものを外子宮口と呼んでいます。分娩の目安となる子宮口が開いているかを確認するのは、内子宮口のほうです。 内子宮口が開くと、赤ちゃんは外側に位置する子宮下部、子宮頸部、外子宮口、腟、外陰部・会陰を通って生まれてきます。
子宮の出入り口である子宮口は、妊娠中は閉じています。通常、早産にならないように、妊娠37週頃までは子宮口が閉まっています。普段は閉じた状態の子宮口は、出産が近づくと柔らかくなって開いていきます。分娩時には全開約10cmにまで開きます。
子宮口までの長さは?
妊婦健診で「頸管長」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?頸管長は内子宮口から外子宮口までの長さで、経腟超音波で確認します。正常の子宮頚管長は4~5cmありますが、妊娠すると子宮頚管長は変わってきます。おなかの張りなどで胎児が下りてくると、この頸管長が短くなります。まだ出産日までに十分な期間があるのに子宮頚管長が短いと、早産のリスクが高まることがあります。
妊娠中の子宮頸管の長さ(内子宮口から外子宮口までの距離)の目安は以下の通りです。
・妊娠初期〜中期(16~27週):約40mm
・妊娠7ヵ月(24週の平均):約35mm
・妊娠9ヵ月(32週)以降:約25〜30mmに短縮
通常、妊娠20週前後で頸管長を計測し、早産のリスクを確認します。おなかが張りやすい、早産の経験がある、多胎妊娠のママの場合、継続的に頸管長を測ります。
子宮口の開き方
分娩の流れは第1期(開口期)、第2期(娩出期)、第3期(後産期)に分けられます。分娩開始から子宮口が完全に開く(全開大約10cm)までを第1期(開口期)と呼びます。
分娩第1期(開口期)はさらに大きく3つに区分できます。
時期 | 子宮口の開き |
準備期 | 0~3㎝ |
進行期 | 4~7㎝ |
極期 | 8~10 ㎝ |
多くの場合、子宮口が1.5㎝以上開いている場合に陣痛が始まります。陣痛の間隔が短くなり、痛みが少しずつ強くなると、子宮口はさらに少しずつ開いてきます。陣痛開始(10分毎の規則的陣痛)から子宮口が全て開く10cmまで、初産婦ママの場合、約10~12時間、 経産婦ママは約4~6時間が目安です。
子宮口1cm
分娩が始まる前の段階です。赤ちゃんが下に降りてきはじめると、子宮口が開いてきます。この期間が、数日~数週間続くママもいます。陣痛も自覚症状もほとんどなく、妊婦検診で子宮口が開き始めたとわかることがほとんどです。
子宮口2cm
本格的な陣痛はまだ始まっていません。赤ちゃんは時間をかけて下に降りてきています。前駆陣痛という分娩前の不規則な陣痛を感じるママもいますが、陣痛が強まることはないでしょう。初産婦ママは、前駆陣痛を数日間経験してから、本格的な陣痛になることが多いです。おしるしが現れる人もいます。
子宮口3cm
子宮口が3cm開くまでの時期を、第1期(開口期)の中では「準備期」といいます。この時期は、陣痛が1時間に6回起こるママもいれば、まだ痛みを感じないママもいるなど、個人差が大きいです。
一般的に、1時間に6回以上の規則的な陣痛が起きていて、子宮口が3cm開いていれば、分娩第1期に突入していると考えられます。入院して出産に備えることになります。
初産婦ママは陣痛が5~10分おき、経産婦ママの陣痛が25~20分おきになったら、病院に連絡しましょう。子宮口が3cm開いていても、数時間のうちに分娩につながる陣痛が起こらない場合もあります。その場合は、一旦、家に帰宅して本格的な陣痛を待つように言われることもあります。焦らずお医者さんなどの指示に従いましょう。陣痛がなくても、子宮口が開いていなくても、破水があれば、必ず入院となります。
子宮口4cm〜6cm
準備期を経て、子宮口が4〜7cmまで開いている時期を「進行期」といいます。赤ちゃんが回って、だんだんと下向きになります。この頃には4〜7分間ごとに陣痛が来て、 30~40秒ほど陣痛時間が続きます。だんだん陣痛の間隔が短くなり、痛みも強くなってきます。赤ちゃんは顎を胸につけて前にかがんだ状態で外に出るのを待っています。赤ちゃんが出てきやすいように、姿勢を変えてあげるとよいでしょう。
子宮口7cm〜8cm
子宮口が7〜8cm開き、全開に向かっていく時期を「極期」といいます。赤ちゃんが回り、下向きになります。 陣痛間隔は2~3分ごと、 陣痛時間は40~60秒で、分娩の過程でママが一番苦しい時期だといえるでしょう。粘稠性で血性のおりものが増えてきます。赤ちゃんの頭が骨盤の中に深く入ってくることから、いきみたくなるママも多いです。できるだけゆっくりとした深呼吸で陣痛を乗りきりましょう。この頃に分娩室へ移動します。
子宮口9cm〜10cm
子宮口が全開になると、陣痛の間隔は1〜3分とさらに短くなります。痛みもさらに強くなります。いきみたいほど肛門への圧迫感を感じるようになります。いきみたくなったら、ゆっくり深呼吸することが大切です。特に、ゆっくりと息を吐くように意識しましょう。長い深呼吸をするといきんでしまう場合は、力強く短く吐く呼吸に変えるといきみを逃せることもあります。痛いので冷静ではいられないかもしれませんが、助産師さんが呼吸のコツなどを教えてくれます。子宮口が全開になって、赤ちゃんが回りながらしっかり下がった時点でいきみを開始します。いきんでもいいタイミングかどうかは、自分で判断することはできません。効果的なタイミングでいきめるように、お医者さんや助産師さんの「いきんで!」という合図を待ちましょう。これを乗り越えれば、赤ちゃんと会うことができます。パパに腰を強めにさすってもらうなどして乗り切っていきましょう。
子宮口の測り方
分娩が近づいてくると、子宮口が柔らかくなってきます。お医者さんが「子宮口が柔らかくなっているから、出産が近いかも」「子宮口がまだ硬いから、赤ちゃんが出てくるまでにはもう少しかかる」などと言うことがあります。
分娩がはじまると、子宮の収縮が強まるとともに、子宮口が少しずつ開くことで赤ちゃんの通り道ができていきます。出産の始まりというと、陣痛や破水が頭に浮かびますが、子宮口の開きも非常に重要なポイントです。
分娩がはじまると、お医者さんが子宮口の開き具合を確認します。「子宮口が何cm開いてきましたね」などと言われます。では、お医者さんはどのようにして子宮口を測るのでしょう?膣に指を2本入れ、指と指の開き具合で開き具合を測っています。
分娩が始まるのは、子宮口が10cm開いたときです。子宮口が10cm開くと、お医者さんが「全開」と判断します。この時期には赤ちゃんが外に出てこられるよう、子宮口は柔らかく広がった状態になっています。陣痛の間隔は2分間くらいになるでしょう。
子宮口が硬い人の特徴
ママによって、子宮口の硬さは変わります。子宮口は、はじめは小鼻くらいの硬さですが、分娩前からホルモンの影響で次第に柔らかくなっていき、最後にはマシュマロぐらいの柔らかさになります。初産婦ママの場合、子宮口が硬いので、分娩が始まってから子宮口が開くのに経産婦ママより時間がかかります。 分娩が始まると、子宮の上部が胎児を押し出すように収縮し、胎児の頭に押し出されて子宮口が開いていきます。
子宮口が臨月に入ってから少しずつ柔らかくなる人もいれば、分娩の1週間くらい前から柔らかくなる人もいます。陣痛が始まってからようやく子宮口が開き始める、という人もいます。臨月になっても子宮口が硬いといわれても、分娩が近づけば自然と子宮口は開いてきます。妊婦健診で「子宮口はまだ硬い」とお医者さんに言われても、さほど気にすることはありません。
子宮口が硬い原因は?
子宮口が硬くて開かないのはなぜなのでしょう。原因は不明ですが、赤ちゃんが生まれる準備が整えば、子宮口は自然と柔らかくなって開いてくるものです。出産予定日はあくまでも予定日。まだ赤ちゃんが生まれる準備が整っていないのかもしれません。心配せずに、どんと構えておきましょう。
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卵膜剥離(らんまくはくり)
妊婦健診の内診時、指や器具を使って子宮の壁と卵膜の隙間をぐるりと刺激し、卵膜の一部を子宮壁から引き剥がします。妊娠40週以降のママに対し、薬剤などによる陣痛誘発の前に行われることが一般的です。卵膜剥離後は自宅安静で陣痛が起こるのを待ちます。
陣痛促進剤
子宮口がスムーズに開かない原因のひとつに、微弱陣痛が考えられます。微弱陣痛の場合、子宮の収縮を促す薬剤によって陣痛を促進させることもあります。また、前期破水や過期妊娠など、妊娠を継続すると母体や赤ちゃんにリスクがある場合も陣痛促進剤を使用することがあります。 陣痛促進剤には、オキシトシンやプロスタグランジンなどの種類があり、錠剤を服用したり、点滴で投与したりします。陣痛促進剤は副作用などのリスクもあるため、助産師やお医者さんなどの医療スタッフによる管理体制が必要です。
ラミナリア
子宮口開大が3cm未満のとき、子宮口に棒状の器具(ラミナリア)を挿入すると、腟分泌物などの水分を吸収して膨張します。そのふくらむ力を利用して、子宮口を開かせる方法です。子宮口の開き具合により1本ずつ挿入し、5~10本入れ、24時間以内に抜きます。
子宮口を柔らかくするには?
できるだけ安全でスムーズな出産を、と願うママは多いでしょう。子宮口をスムーズに開くためには赤ちゃんが通りやすいように産道をなるべく開いてあげることが大切です。子宮口を柔らかくするためにできることは?残念ながら子宮口を柔らかくするような方法はないのですが、子宮口を開きやすくすると考えられている方法をご紹介します。
体をよく動かす
おなかが大きくなったら、動くのも大変になります。だからと言って体を動かさないでいると、体が固くなってしまいます。適度に運動を取り入れることで、子宮口が柔らかくなり、開きやすくなると考えられています。体に無理のない範囲で、子宮口周辺を柔らかくするマタニティヨガや妊婦体操、胡坐のポーズでのストレッチやなどを試してみましょう。スクワットや草むしり、四つん這いの姿勢で雑巾がけをして足を開く動きもおススメです。足を開くことで股関節が柔らかくなります。草むしりや雑巾がけは立ったり、しゃがんだり、の動作をなるべく繰り返しながら行うと効果的です。ウォーキングは上半身を立てた姿勢で歩きます。重力で赤ちゃんが下りやすくなるかもしれません。階段を上り下りすることも、重力がかかるため、子宮口を開きやすくする可能性があります。必ず手すりをしっかりつかみ、ゆっくり歩き、安全に気をつけましょう。
リラックスする
子宮口がスムーズに開くために、必要な陣痛がくるために、リラックスすることが大事です。リラックスすることで幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌され、陣痛を促進させます。リラックスして分娩に臨めるように、呼吸法を練習しておきましょう。呼吸法は、息を吸った後に静かに、ゆっくり、長く吐くがポイントです。陣痛の時もなるべく力を入れず、 息を止めないでゆっくりと呼吸する ことにより、赤ちゃんに負担をかけないで、子宮口が開いていきます。
バランスの良い食事を摂る
分娩が近づくと赤ちゃんが下がってくるので、子宮の位置が下がります。この時期に食欲が出てくるママは実は少なくありません。ただし、臨月で急激に体重が増えると、分娩に影響が出ることもあります。バランスの良い食事を心がけて、産道に脂肪がつかないようにすることが大切です。ニンニクやショウガなど、体を温める作用のある食材を多く取り入れるのもおすすめです。
お医者さんによる処置
子宮口を自分で柔らかくすることはできないので、お医者さんの判断で子宮口を柔らかくする処置をすることがあります。妊娠40週を超えても子宮口が硬い場合は「卵膜剥離」などの医療処置を行い、自然に陣痛が来るようにサポートします。破水や陣痛が起こっているのに子宮口が硬い場合は、陣痛促進剤などを使います。
子宮口が開きやすい人の特徴
子宮口が開きやすいママの特徴は?残念ながら、よくわかっていません。すでに出産経験があるママは、子宮口が開きやすい傾向があると考えられています。反対に、初産のママは、子宮口が固く、ゆっくりと開くことが多い傾向です。また、リラックスできずに緊張している場合も、子宮口が開きにくい傾向があります。リラックスして、どんと構えているのがいいのでしょう。個人差があるものの、高齢出産のママも比較的開きにくいとされています。他にも子宮奇形や子宮頸管の損傷などで子宮口が開きにくい傾向があると考えられています。
出産時の子宮口
子宮の収縮が次第に強くなり、子宮口が大きく開いていきます。陣痛の間隔は短くなり、痛みも強くなります。陣痛開始時に、おおよそ10分間隔で20~30秒続いていた痛みは、次第に間隔が短く、継続時間が長くなっていきます(2~3分間隔で約60秒間継続)。子宮口が最大(10㎝程度)まで開き、陣痛がピークに達したら、赤ちゃんが出てきます。子宮口が完全に開くまでに初産婦ママでは10~12時間、経産婦ママは4~6時間が目安です。出産にかかる時間の3/4以上は分娩第1期になります。
子宮口が完全に開いても、いきんでもいいタイミングかどうかを自分で判断することはできません。よいタイミングでいきめるように、お医者さんや助産師が「いきんで!」という合図を出してくれるのを待ちましょう。それまでは吐くことに集中した呼吸を行う、肛門を強く押さえる、腰のあたりをさするなどすると、いきみたい感覚をやわらげるのに役立ちます。いきみとともに赤ちゃんの頭は下がってきます。
子宮口が何cmで入院?
目安としては、陣痛が1時間に6回(10 分間隔)程度になった時に病院に連絡を入れます。(経産婦は 15 分間隔)。この段階では、子宮口は3㎝くらいに開いているでしょう。ただし、病院への交通方法や所要時間なども考慮して、連絡するタイミングについては前もって病院に確認しておきましょう。早く病院へ行ったから、早く赤ちゃんが生まれるわけではありません。初産の場合痛みが 7~5分間隔になった、もしくは痛みが強くなってきたかな、という時点で病院へ 連絡をしても充分間に合います。子宮口が全開10cmになってから 赤ちゃんが生まれるまでは、初産で平均1時間、経産で平均30分ほどです。但し、時間はあくまで目安、個人差が大きいです。
よくある質問
子宮口が3cm開くまでの時期を、第1期(開口期)の中では「準備期」と呼び、陣痛が1時間に6回起こるママがいます。ただ、痛みを感じないママもいて、個人差が大きいです。
一般的に、1時間に6回以上の規則的な陣痛が起きていて、子宮口が3cm開いていれば、分娩第1期に突入していると考えられます。
まとめ
陣痛の感覚が短くなり、痛みが少しずつ強くなると、子宮口は少しずつ開いてきます。子宮口が3~4cm開くまで(準備期)の時間は長く、個人差があるものの、通常は10時間ほどかかります。 子宮口が4~6cmに開くころには陣痛の間隔は3分おきになり、その時点から出産の流れは急速に進んでいきます。
妊婦検診などで「子宮口が開いている」と聞くと、すぐに産まれるの、と焦ってしまいますね。この記事でご紹介したように、陣痛開始(10分毎の規則的陣痛)から子宮口が全て開く(10cm程度)まで、初産婦ママだと10~12時間、経産婦ママでも4~6時間かかるのが一般的です。
陣痛が始まったら、病院へ行くタイミングをはかるために陣痛の間隔を測るようにしておきましょう。楽な姿勢でリラックスして過ごし、今のうちに寝ておきましょう。出産までは時間がかかります。リラックスして出産に臨むことが大切です。
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