産後の食事について知っておきたいこと

出産後の体重(産後体重)に悩む女性は多く、特に「いつからダイエットを始めればいいの?」「どうすれば無理なく体型を戻せるの?」といった疑問を抱える方が少なくありません。産後ダイエットは、単なる減量ではなく、体の回復やホルモンバランスの変化を考慮した長期的なアプローチが重要です。以下のポイントを押さえることで、無理なく健康的に産後の体重管理ができます。

■ 産後体重を戻すための基本ポイント 

- 開始時期:産褥期(産後6〜8週)は避け、体調が整った産後2〜3ヶ月以降が目安 

- 食事:栄養バランス重視。母乳育児中は過度なカロリー制限NG 

- 運動:骨盤ケアや軽いストレッチからスタートし、段階的に負荷を調整 

- 睡眠:ホルモンバランスを整えるためにも、可能な限り睡眠時間を確保 

- 精神面:焦らず自分のペースで。周囲のサポートも活用する 

この記事では、産後 体重を効果的に戻すための方法や注意点を、食事・運動・生活習慣の観点から詳しく解説していきます。

産後のダイエットはいつから始める?

待ちに待った赤ちゃんが生まれました。マタニティーウェアともさよならです!心も体も身軽になり、動くのがラクになる、はず?あれ?妊娠前に着ていた服が入らない?なに、なに、この脂肪は?妊娠前の服がまったく入らない!どうすればいいの?着るものがないー!

妊娠前に着ていた服を着ようとして、こんな風にパニックになったママも多いのではないでしょうか? 

産後、赤ちゃん、胎盤、羊水の排泄、出血でママの体重は 6kg 程度減少します。その後、さらに 2kg 以上体重が減りますが、妊娠中についた皮下脂肪のために出産後 2~ 3ヵ月の時点で、多くのママの体重は妊娠前に比べて 3~4kg 増えています。 妊娠後すぐに昔の服が着られなくても、体型がすぐに戻らなくても、焦らなくても大丈夫です。ゆっくりと妊娠前の体型に戻していきましょう。

妊娠前の体型に戻そう、とダイエットを決意するママは多いはず。但し、無理して早くからダイエットを始めるのは避けましょう。一般的に産後は半年までが痩せやすいとされていますが、身体が回復しないうちは、無理は禁物です。産褥期が過ぎて、ママの体調が安定してくる産後2~3ヵ月目くらいから産後ダイエットを始めるのが理想的です。

産褥期(さんじょくき)は避ける

出産は女性にとって非常に体力を消耗する大仕事です。産後のママの体はとても疲れています。 

産後6~8週頃までの時期を産褥期(さんじょくき)と呼びます。ホルモンバランスの変化、産後うつ乳腺炎の可能性、子宮復古、悪露が出ていることも多いので、産褥期が産後のダイエット開始時期には適しているとは言えません。産褥期にはママは無理をせず、産後の疲れた体を休ませることが最優先です。育児以外は安静することを心がけましょう。すぐにダイエットをしたくても、産後1ヵ月間は激しい運動は控えましょう。まずは1ヵ月健診でお医者さんに相談して、指示に従いましょう。

帝王切開の場合は?

帝王切開の場合、表皮の下の層が完全に治るには、3~6ヵ月ほどかかると言われています。まずはママのおなかの傷口の回復が最優先。産後ダイエットを始める時期は、経腟分娩のママよりもどうしても遅くなってしまいます。

まずは1ヵ月健診でお医者さんに確認しましょう。ママの体力の回復や傷口の状態を見て、お医者さんが判断してくれます。通常、ママの健康のために、さらにもう1ヵ月はしっかりと子宮や傷口を休ませた方が良いと判断されることが多いようです。

2人目出産後が痩せにくいって本当?

1人目と2人目の産後ダイエットでは、2人目の出産後のほうが痩せにくいと言われます。原因として、生活習慣や精神的な変化、基礎代謝の低下が考えられます。それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。

1. 生活習慣の変化

1人目の時は、1人の赤ちゃんのお世話をしていればよかったのです。2人目の場合、子ども2人のお世話をしなければなりません。ゆっくりと食べる機会もなく、生活習慣が大きく変わるママが多いです。上の子の食べ残しをもったいないから、と食べて摂取カロリー量が増えたり、ゆっくりと食べれないので、簡単に早く食べられるインスタントラーメン、菓子パンやおにぎりなどの早食い習慣がついてしまうこともあります。食習慣が乱れるので、体重が減りにくい体質になることも。一方で、2人目が産まれると忙しくて食事もゆっくりできずに絶えず動き回っているので、妊娠前の体重にすぐ戻るママもいます。

2. 精神的な変化

1人目の産後と2人目の産後は、ママの精神状態に違いがあります。1人目の産後は初めての育児で慣れないことも多く、緊張やストレスで痩せやすい傾向にあります。でも、2人目の後は、すでに育児経験者であることから、リラックスしながら子育てをするママが多いでしょう。リラックスして育児をした結果、気が緩んでしまい、体重が思うように減らなかったり、逆に増えたりするママもいます。

3. 基礎代謝の低下

1人目の出産の時よりもママは年齢を重ねています。年齢を重ねると、基礎代謝が低下し、痩せにくくなることがあります。基礎代謝の低下で日常生活での消費カロリーが減少するだけでなく、母乳育児の消費カロリーも低下します。具体的には、母乳育児の消費カロリーは平均350kcal以上です。でも、2人目の母乳育児で基礎代謝が低下していた場合、消費カロリーが350kcalを下回ってしまう可能性があります。また、歳を重ねると体力や筋力が落ちてきます。筋トレなどしないかぎり、脂肪が燃えにくい体になっていきます。

4. ストレスが増える

2人目の出産前後、上の子の精神状態が不安定になることがあります。産後の赤ちゃんのお世話も大切ですが、上の子のケアも同じように大切です。ママが下の子ばかりにかまっているとちょっかいを出してきたり、抱っこを要求してきたり、赤ちゃん返りが始まることもあるでしょう。ママの育児ストレスが増えてしまい、ストレスで食に走ってしまうママもいるでしょう。お世話の合間にお菓子をつまんだり、イライラしたときにお菓子を食べたりすることも。食べることでストレス発散をすると、自然と食べる量が増えてしまいます。気をつけましょう。

5. 体重が戻らないまま2人目を妊娠した

1人目妊娠中に増えた体重がもとに戻らずに、そのまま2人目を妊娠に突入すると、痩せにくい体質になります。増えてしまった脂肪を筋肉が燃焼しきれず、そのまま蓄えてしまうことが理由です妊娠中は、基礎代謝がどんどん下がります。その結果、2人目を出産してから、思ったよりも体重が減らなくなります。脂肪を燃やす筋肉がついていない状態で2人目を妊娠すると、体重が減りにくくなります。妊娠中も産後も、体重管理が大切ですね。

産後ダイエットに良い食事

妊娠中に増えた体重を戻そうと思っても、産後のママは体の回復や母乳の分泌のために、普段よりも多めに食事を摂る必要があります。授乳中は通常時よりも350キロカロリーも多く摂取することが推奨されています。赤ちゃんが一日に飲む母乳には350キロカロリー以上のエネルギーや栄養素が含まれているかことが理由です。

赤ちゃんの健やかな成長のために食事はとても大切ですが、摂取カロリーが多いと痩せにくくなるだけでなく、太ってしまう原因になります。産後の食事管理もとても大切です。摂取カロリーを制限するだけでは、ママの体調や母乳の出に影響を与えることがあります。食事制限をしてしまうと母乳の出に影響が出てしまう可能性があるので、無理なダイエットは厳禁です。産後ダイエットに良い食事をご紹介します。

バランスの良い食事

産後の食事で最も大事なのは、栄養バランスの良い食事です。ママの体の回復のために、バランスの良い食事をとることが大切です。また、赤ちゃんが栄養を摂取できるのは母乳だけなので、授乳中は赤ちゃんに必要な栄養をしっかりと摂取する必要があります。母乳はママが食べたものの栄養素や成分から作られます。

授乳中に摂りたい栄養素は、葉酸、たんぱく質、ビタミンC、カルシウム。これらをバランスよく摂りましょう。なかでも、たんぱく質は筋肉の回復を助け、ビタミンやミネラルは疲労回復や免疫力の向上に役立ちます低カロリーで高タンパク質の和食を中心とした食生活を実現しましょう。

  • 炭水化物はエネルギー源ごはん・パン・麺などをしっかりと食べましょう。

  • 鶏ささみ・鶏胸肉・赤身肉・白身魚などの良質で低脂肪のたんぱく質を食べましょう。

  • ごぼう・大根・人参・れんこん等体を温める根菜類を食べましょう。

  • 汁物を取り入れて、水分の補給をしましょう。

食べる順番に気を付ける

炭水化物はエネルギー源です。太ってしまうから、と炭水化物を必要以上に制限せず、ごはんや麺をしっかりと食べましょう。食べる順番を変えることで、効率よく栄養を吸収できるだけでなく、太りにくくなりますよ。その日の献立の中で一番糖質の少ない料理から順に食べていきましょう。具体的には、野菜や野菜の入った汁物から食べ始め、肉や魚などたんぱく質の多い主菜、最後にご飯やパンなどの炭水化物の順番がおススメです。野菜を最初に食べることで、食物繊維が血糖値の上昇を抑えてくれるので、太りにくくなります。子育て期間中の食事はどうしても時間に追われてしまうもの。それでも早食いは避けて、よく噛んでゆっくりと食事をするようにしてくださいね。

産後のダイエットにおススメのエクササイズは?

産後ダイエットでは、身体に負担の少ないエクササイズから始めることが大切です。出産直後のママにとって、最優先事項は体力回復です。運動を始めるにあたっては、必ずお医者さんの許可を得た上で行い、無理をしないように段階的に強度を上げていきましょう。まずは、骨盤トレーニングや軽いヨガ、ウォーキングやから始めるのがおススメです。

骨盤トレーニングは自宅で、隙間時間を使って手軽にできる嬉しい運動です。ウォーキングは赤ちゃんとお散歩がてらにできるので、一石二鳥です。ストレッチは筋肉をほぐし、血行を促進する効果が期待できます。ヨガやピラティスも産後の身体に適した運動です。体幹を鍛えながら柔軟性も向上できます。但し、必ず産後向けのプログラムを選び、ママの体に負担とならない、無理のない範囲で行うことが大切です。産後ダイエットにおススメのエクササイズをご紹介します。

骨盤トレーニング

骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)とは骨盤の下側で、ハンモックのように膀胱や子宮、直腸を支えている筋肉です。妊娠中の子宮の重みや分娩時に強く引き伸ばされたり、筋肉や神経が傷ついたりするので、産後は引き締める機能が弱っています。これは、尿漏れなどのトラブルにも関係しています。骨盤底筋群を少しずつ動かして、筋肉を鍛えていきましょう。骨盤トレーニングの方法をご紹介します。調理中や洗濯物を畳んでいる時、トイレに行った時に少しずつ試してみてください。1~3ヵ月後に効果がみられると言われています。

  1. 仰向けになり、両手をおなかの上に置きます

  2. 肛門や膣を軽くしめた状態で3~5秒維持して、緩めます

  3. 10秒休みながら、それぞれ10回繰り返してみましょう。

  4. 慣れてきたら、1日3~5セットを目安に繰り返しましょう

ウォーキング

有酸素運動であるウォーキングは、血流促進効果やリフレッシュ効果があり、産後ダイエットに効果的だと考えられています。産後は体力が落ちているのでいきなり長時間歩くのではなく、最初は5分ほど、近所を歩く程度から始めましょう。体調不良にならないように暑い時間は避けて、水分補給をしながら行います。また、ウォーキング前後に軽いストレッチをしておくと、怪我の予防になります。ウォーキングは背すじをまっすぐに伸ばし、正しい姿勢で歩くことが大切です。

ヨガやピラティス

産後ヨガやピラティスも自宅で隙間時間に簡単に行うことができる嬉しい産後エクササイズです。育児や家事の合間に実践してみましょう。ヨガは全身運動なので、妊娠中や産後に増えてしまった体重の減少や全身をバランスよく引き締める運動として効果的です。また、妊娠中や産後に歪みやすい骨盤や姿勢を整え、筋力が低下してしまった骨盤底筋群や体幹強化にもおススメです。ヨガにとって呼吸は大事な要素。深い呼吸を繰り返し行うことで自律神経を整えることができ、リラックス効果やストレスの発散も期待できます。産後2ヵ月頃を目安に強度の低いポーズから始めましょう。

産後に痩せない原因

産後はどうして痩せにくくなるのでしょう?以下の3つの原因が考えられます。

骨盤のゆがみ

妊娠と出産を経験して、ママの骨盤は開いたり、ゆがんだりしています。一度形が変わったものを元に戻すのは難しく、骨盤が緩んだり、ゆがんだりの状態だと、体全体のゆがみにつながります。体のゆがみが原因で、おなかや背中などの場所に脂肪がつきやすくなり、なかなか痩せることができません。

運動不足

産後は育児に追われるので、エクササイズの機会が減ってしまうのは仕方がないこと。身体を動かす機会が少なくなると筋力が低下し、血行が悪化して基礎代謝が下がります。基礎代謝が下がると痩せにくくなるので、思うように痩せないと感じてしまいます。

ストレス

産後は睡眠不足や出産のダメージが残っているので、ストレスを感じることもあるでしょう。育児で忙しいとリフレッシュやエクササイズの時間をとるのが難しくなります。ストレスは、食欲を増加させるホルモンを分泌するため、暴飲暴食になることも。ストレスによって過食気味になると摂取エネルギーが過剰になるので、瘦せるどころか太りやすくなります。

産後ダイエットの注意点

産後ダイエットをする時に、ママに注意してもらいたいことがあります。出産直後のママの身体は体力が消耗しています。産後に体重が減らないからと言って、いきなり激しいエクササイズや食事制限はいけません。ママの骨盤周りが緩んでいるので、身体のバランスが崩れやすく、ちょっとした動作で腰や膝に負担がかかりやすくなっています。さらに、授乳によるエネルギー消費や、赤ちゃんのお世話による睡眠不足で、ストレスや疲れがたまりやすい時期でもあります。エクササイズは骨盤まわりの筋肉を意識した軽いストレッチや、無理のない程度のウォーキングから始めましょう。また、太りたくないからといって極端な食事制限をするのはNG。赤ちゃんの栄養は母乳からです。ママが食べるものが母乳となります。食事は低カロリーでタンパク質の多い、和食を中心とした食生活を基本としましょう。

産後ダイエットで成功する秘訣は?

産後の体型を妊娠前の状態に戻すのは簡単ではありません。無理のない目標を立てて、コツコツと目標に向かうのが産後ダイエットの成功の秘訣です。モチベーションを維持し、楽しみながら取り組めるような方法を考えてみましょう。

モチベーション維持のコツ

モチベーションを保つために大事なことは、無理のない目標を設定すること。「1ヵ月で何キロ痩せる!」と言った大きな目標ではなく、「少しだけ歩く」「おやつの量を減らす」など、コツコツと小さな目標から取り組んでいきましょう。仲の良いママ友と一緒にダイエットをするのはどうでしょう。一人では頑張れなくても、一緒にできるママ友がいれば、楽しくダイエットに励むことができますね。

長期的な目標設定と小さな成功を積み重ねる

短期間で結果が出るものではありません。長期的な目標を立てて、少しずつ進めていきましょう。「1年後には妊娠前のジーパンが履けるようにする」と言うような長期的な目標を立てましょう。小さな成功を書き留めておきましょう。

育児との両立方法

産後ダイエットを成功させるためには、育児との両立が大きな課題です。ママは赤ちゃんのお世話で一日があっという間に過ぎてしまい、自分の時間を確保するのが難しいはずです。でも、少し工夫するだけで、育児の合間にダイエットを取り入れられます。赤ちゃんが昼寝をしている間や、家事の時間を利用して、短時間のエクササイズをやるのも一つの方法です。掃除機をかける時にスクワットを加える、洗濯物を干す時に背伸びを意識するなど、日常の動作を少し工夫するだけで、運動量を増やせます。

よくある質問

産後6ヵ月間が痩せやすい時期といわれています。ダイエットを始めるなら、お医者さんの許可を得て、この時期にしましょう。

まとめ

女性の体は、妊娠や出産で変化します。でも、心配しないで。時間はかかりますが、適切な食事とエクササイズで妊娠前の体に戻していきましょう。お医者さんの許可が出たら、無理はせずにゆっくりと産後ダイエットを取り入れていきましょう。

産後ダイエットは、ママの体重を減らすことだけを目標とするのではありません。適切な食事とエクササイズでママの健康な状態を取り戻し、育児に必要なパワーを維持するためのものでもあります。子育て中のママはどうしても自分時間が少なくなります。日々の生活の中で、少しずつ健康的な習慣を取り入れていきましょう。

無理のない目標を立てて、小さな成功を積み重ねていくことが産後ダイエットの成功の秘訣です。モチベーションを維持し、楽しみながら取り組んでいきましょう。

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