よくある質問: 経膣分娩

陣痛や出産は、多くの妊娠中のママにこれから起こることへの緊張と興奮を感じさせ、たくさんの疑問を抱かせる体験です。もうすぐ母になる妊娠中のママとして、出産当日に何が起こるかは判らないけれども、出産についてできるだけ多くのことをあらかじめ知っておきたいですね。経膣分娩 に関するよくある質問を読んで、出産への心の準備を少しだけ始めましょう。

経膣分娩にかかる時間は?

出産と言っても、ママによってそれぞれ違います。お腹の中の赤ちゃんの大きさや位置、子宮口の開き具合などによって赤ちゃんが産まれるまでの時間は変わります。

初めての出産の場合、出産が12~18時間あるいはもう少し長くかかることがあります。すでに出産の経験がある妊娠中のママは、もう少し短くなります。でも、出産は人それぞれ違うと覚えておきましょう。数時間で産まれてくる赤ちゃんもいれば、10時間やそれ以上かかって産まれてくる赤ちゃんもいるのです。

経膣分娩での出産の流れは?

全てが予定通りに進めば、妊娠週で言えば38~42週にあたる妊娠後期 に陣痛があるでしょう。 注意したい陣痛の兆候 は幾つかあります。 陣痛が始まったら、大きく分けて4つの段階があります。

分娩第一期: 出産への準備

分娩第一期は平均で数時間から12~15時間かかります。下の3段階で流れが進んでいきます。

  • 陣痛の超初期:子宮口が0~5-6 cm開く。陣痛は15分~5分ぐらいの間隔で、規則正しくない

    子宮口が開いてくると、子宮が締め付けられるような陣痛を感じ始めるでしょう。最初は15分間隔ほどですが、ゆっくりと陣痛が頻繁になり、最後は5分間隔ほどになります。陣痛は最初は1分ほど続き、60秒~90秒と次第に時間が長くなっていきます。陣痛の初期段階は6~12時間ほど続きます。この時点で破水が起こることもありますし、もう少し後の時点で起こることもあります。自然に破水がおこらず、人工破水となることもよくあります。人工破水の処置は、妊娠中のママが病院に入院してから行われます。

  • 陣痛が活発化:子宮口が5-6~10 cm開く。陣痛が規則正しく、激しくなる

    子宮口が開いてくると、陣痛が強くより頻繁になってきます。陣痛が5分間隔ほどになってくると、お産が進んでいる良いサインです。いつ、病院に向えばいいのかを、お医者さんが教えてくれるでしょう。いざ、病院へ行く時期が来ても、慌てることのないように妊娠8ヶ月頃には 入院バッグを詰めておくことをお勧めします。

  • 陣痛が本格化: 子宮口が10 cm開く。陣痛は最も激しくなる 一般的にこの段階は短く、1時間以内です。ママの体が赤ちゃんを産道へ押し出そうとするので、陣痛が最も激しくなる段階です。

分娩第二期:赤ちゃんの誕生

子宮口の広がりが10 cmになったら、分娩第二期へ突入です。ママの陣痛が赤ちゃんを産道へ押し出します。分娩第二期は、特に出産を経験したママの場合だと1時間もかからないでしょう。初めて出産するママの場合、2~3時間ほどかかることがあります。赤ちゃんが産まれ、へその緒が切られたら、抱っこしてもらうためにママに渡されます。その後に赤ちゃんの健康状態を確かめる検査が待っています。

分娩第三期: 胎盤が出てくる

待ちに待った赤ちゃんが産まれた後は、全てが終わった、とママはほっとしているかもしれません。でも、まだ、胎盤を出す作業があるのです。これは数分で終わることもあれば、20分ほどを要することもあります。胎盤が出てくるときに軽い陣痛を感じるママもいますが、この陣痛は出産中に経験したものよりも軽いです。

分娩第四期: 出産後の時間

出産後に赤ちゃんとの絆を深めるための時間がゴールデンアワー。出産後のママの状態が良く、病院が許可してくれるのであれば、出産後すぐに赤ちゃんを抱っこすることができるでしょう。この時間が母乳を出やすくしてママと赤ちゃんの絆を深めるだけでなく、赤ちゃんの呼吸や体温の調整にも役立ってるんです。スキンシップの重要性と赤ちゃんとの絆を深める方法を知っていきましょう。

誘発分娩とは?いつ、必要なの?

陣痛が始まらないときや進まないときに、陣痛の誘発や促進が必要となることがあります。妊娠41~42週目に入っても陣痛が自然に始まらない時や、ママの体と赤ちゃんに影響を与えるようなリスクがある時、ママの陣痛が始まる前に起こってしまう前期破水を経験したときなどに誘発分娩が行われます。お医者さんがママの子宮口を広げたり、卵膜を剥がしたりする処置を行って陣痛の開始を促します。また、陣痛を促すホルモンのオキシトシンに似た薬を投与されることもあります。

痛みを和らげる方法はあるの?

陣痛の痛みがあまりにも強くなってきたら、考えてしまいますね。ママの痛みを和らげるための選択肢はマッサージから薬の投与までたくさんあります。どういった選択肢があるのかなど、前もって出産時に立ち会ってくれる医療チームと相談しておきましょう。

経膣分娩時に経験する痛みを和らげたいママのために、痛みを和らげる方法でよく知られているのが、硬膜外麻酔・無痛分娩です。日本では無痛分娩ができる病院は多くないため、無痛分娩をしたい場合はあらかじめ無痛分娩をする病院を選ぶ必要があります。下半身を麻痺させて、痛みを感じさせなくする方法なので、出産の間、ママの意識ははっきりとしていて、赤ちゃんが出てくる時にいきむこともできます。硬膜外麻酔やその他の無痛分娩の選択肢にはママへの副作用も幾つかありますので、まずはお医者さんと相談してから決めるようにしましょう。

陣痛の痛みを和らげる を読んで、ママにぴったりの方法を知っていきましょう。

バースプランは必要なの?何を書けばいいの?

多くの妊娠中のママがバースプランを作成し、予め出産に立ち会う医療チームとシェアしています。バースプランとは、出産の時の痛みを和らげる方法、出産時にママをサポートしてくれる人、お産の時の姿勢や動き、食べ物や飲み物に関すること、音楽などのママをリラックスさせてくれる方法などについて書くものです。

陣痛が始まる前にお医者さんとバースプランについて話しましょう。また、バースプランが完成したら、コピーを出産時の医療チームにも渡しておきましょう。万が一のために、コピーもとって入院用バッグにいれておきましょう。

実際に、どのような出産になるかは分からないですね。柔軟な態度でお産に挑むようにしましょう。予期せぬことが起こっても受け入れて柔軟に対応し、出産時のママの感情に身を任せましょう。

出産後の会陰縫合は必要なの?

出産時に会陰切開をした場合には、出産後の会陰縫合が必要になります。膣と肛門の間とその周辺の部分を少し切っただけでも、縫合が必要となるでしょう。切った部分が大きいと当然のことながら縫合は必要になります。会陰切開は初めて出産するママの場合に多いようですが、お産が早く進み過ぎて膣の周辺が十分に伸びていないときにも行われます。

経膣分娩後のママの回復は?

経膣分娩後の回復にはどのくらい時間がかかるの?と考える妊娠中のママもいるでしょう。でも、それぞれ違いがあるので、一口にはいえません。経膣分娩後のママの体の回復は、出産後に病院で過ごす 帝王切開 のママよりも早く、痛みも少ないと言われています。

ママの傷が大きければ、痛みが数週間続くこともあるでしょう。 経膣分娩の後、座ったりトイレに行く時に出産後の膣の痛みを経験することがあります。

経膣分娩の後、傷の周りが腫れたり、ヒリヒリと痛んだり、痒くなったりすることを経験するママがいます。また、膣の周りに不快感を感じるママもいますが、腫れや痛みは時間とともに治まっていきます。

出産後、腸のあたりの痛みを経験するママも多くいます。便秘や腸にたまったガスなどは、少し歩いたり、水分をたくさん取ったり、繊維質の多い食品を取ることで楽になるでしょう。骨盤底筋体操とも呼ばれるケーゲル体操は、ママの骨盤底筋を引き締めてくれます。尿漏れ対策や腸の機能回復によいと言われています。

出産後の出血はいつまで続くのかはママによって違ってきますが、一般的に出産後、数週間は続くので、吸収力の高いナプキンなどを手元に用意しておきましょう。出血が生理の量よりも多かったり、出血量が増えるようであれば、お医者さんに連絡をしましょう。

赤ちゃんが産まれた後には何が起こるの?

赤ちゃんが産まれたら、ママが赤ちゃんを抱っこする前に、まずは赤ちゃんの健康状態をチェックします。ママが産まれた赤ちゃんを見て感動に浸っている間、ママの胎盤が取り出され、会陰切開をした場所や帝王切開の傷口が縫合されます。会陰切開は赤ちゃんが出てきやすいように膣と肛門の間の部分(会陰)を切開したり、いきみすぎてママの会陰が裂けてしまわないようにお医者さんが会陰を広げる処置です。お産の後には何が起こるのを読んで詳しく知っていきましょう。

経膣分娩のあとにすぐに授乳できるの?

赤ちゃんの状況にもよりますが、出産後すぐに母乳をあげることができます。赤ちゃんはすぐにおっぱいに吸いつく練習ができますね。赤ちゃんの最初の食べ物は、栄養豊富な初乳。ママのおっぱいが母乳を作り出す前に作られる特別な母乳です。初乳は出産後の数日間に出てくるもので、母乳よりも黄色がかっていてドロドロしているのが特徴です。

合併症のリスクは?

会陰裂傷や骨盤底筋肉が弱くなるなどの経膣分娩に関係するリスクは幾つかあります。裂けてしまった場合は、お医者さんが縫ってくれますし、骨盤底筋体操とも呼ばれるケーゲル体操で、ママの骨盤底筋を引き締めることができます。

経膣分娩の途中に問題が発生したら、ママと赤ちゃんの健康のために緊急帝王切開が勧められるでしょう。経膣分娩の幾つかのリスクは、前もって予定された帝王切開分娩で回避することができます。

帝王切開後、次の妊娠で経膣分娩はできるの?

ママに経膣分娩ができる条件が整っていたり、以前の帝王切開が次の経膣分娩にとって危険でないと判断されたら、帝王切開後の次の妊娠で経膣分娩が可能でしょう。次の出産は経膣分娩で、と考えているママは、過去の妊娠経緯についてお医者さんにしっかりと伝えましょう。ママにとってのリスクや利点をお医者さんがきちんと説明してくれます。

双子を妊娠中。経膣分娩で産めるかしら?

双子を妊娠する多くのママが経膣分娩で産んでいます。でも、どちらかが逆子だったりしたら、帝王切開分娩が勧められるでしょう。一般的に、三つ子以上の経膣分娩は、リスクが高いので余りないと言えるでしょう。

パパの立会い出産は可能?

経膣分娩の間は、ママの呼吸やママがリラックスするのを助けてくれたり、いきむタイミングや手をしっかりと握ってくれるサポーターがいてくれるとママも安心ですね。サポーターは必ずしもパパでなくてもかまいません。近い親戚や友人にお願いするママもたくさんいます。

また、パパがママの出産中にずっといる必要もありません。休憩を取るパパもいれば、出産の最後の段階で外に出るパパもいます。出産するママやママをサポートする人の気持ちが大切ですね。

女性は、過去何千年も出産を繰り返してきました。周りのお医者さんを信じて、女性の体は驚くべきことに耐えられるように作られていると覚えておきましょう。

本記事の内容について
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