離乳食の進め方

離乳食を始めるのは、卒乳が目的ではありません。生まれてからママの母乳やミルクだけを飲んで成長してきた赤ちゃん。生後3ヵ月を過ぎる頃には、体重は生まれた時の約2倍になります。赤ちゃんは急速に成長していくので、母乳やミルクだけでは栄養が不足してしまい、さらなる発達のために食べ物から栄養を摂ることが必要となってきます。また、離乳食を始めることで、自分で食べる練習をしたり、消化器官を発達させたり、生活リズムを身につけたりもするんですよ。離乳食はいつから始めるの?離乳食を始めてもいいサインは?離乳食はどういうふうに進めたらいいの?離乳食の開始について、ご紹介します。

離乳食はいつから始めるべき?

赤ちゃんは生まれてからずっと、ママの母乳やミルクだけを飲んで成長してきました。生後3ヵ月を過ぎる頃には、体重は生まれた時の約2倍になります。

離乳食を始めるのは、生後5~6ヵ月頃が目安です。この頃になると、赤ちゃんが急速に成長するので、母乳やミルクだけだと栄養が不足してしまいます。特に鉄やたんぱく質が不足するので、離乳食から必要な栄養を摂る必要があります。

離乳食の開始は、固形物を食べる練習をすることでもあります。固形物を食べることで、消化する能力が発達し、食べ物を噛む力が育っていきます。赤ちゃんは離乳食を開始することで、食べたい、という気持ちや好奇心を育み、自分で食べる力や生活リズムを身につけていきます。

離乳食はいつ始めればいいのでしょう。赤ちゃんの成長や発達は個人差が大きいですが、以下のサインがあるかどうかが目安となります。赤ちゃんの体調や食べる時の様子を見ながら、あせらずにゆっくり離乳食を進めていきましょう。

離乳食を始めるサイン

離乳食を食べることで、赤ちゃんはおっぱいやミルクを吸うことから、食べ物を嚙み潰して飲み込むことを覚えていきます。以下のようなサインが見られたら、離乳食を始める準備ができていると言えるでしょう。

  • 首がしっかり座り、支えてあげると5秒程度、座ることができる。

  • 食べ物に興味を示す。大人が食べているものを欲しがるようになる(家族が食事をする様子を見てよだれが出る、口をモグモグと動かすなど)

  • スプーンを口に入れても押し出すことが減ってくる。

  • 授乳リズムが3~4時間間隔になり、生活リズムが整ってきている。

これらのことができるようになってきたら、離乳食を始めるタイミングです。 赤ちゃんの機嫌が良い午前中に食べさせてみましょう。

離乳食を始めるサインが出なかったら?

赤ちゃんの成長や発達には個人差があります。生後5ヵ月になって離乳食を始めるサインが見られなくても、心配することはありません。大切なのは、赤ちゃんの身体や発達が離乳食を始める段階まで到達しているかどうかです。生後5ヵ月になったから、と月齢だけで離乳食を始める必要はありません。大切なのは、赤ちゃんが離乳食を始めてもよいと言うサインを確認してから、離乳食を始めることです。

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離乳食の進め方

離乳食を始めたからと言って、すぐに離乳食だけをバクバクと食べ始めるわけではありません。この時期の赤ちゃんの栄養は、基本、母乳とミルクからです。離乳食はまずは1日1回とし、初めて食べる食品は1日に1品、離乳食用スプーン1さじからとしましょう。母乳やミルクは、授乳のタイミングに従って、欲しいだけ与えます。離乳食を食べる量は少ないので、離乳食を与えた後は、赤ちゃんが欲しがるだけ母乳やミルクを飲ませましょう。

最初は「舌触りがざらざらしている」「味が嫌い」という理由で食べてくれないこともあるでしょう。うまく飲み込めないこともあります。最初から上手に食べられるわけではありません。離乳食を始める時期は、離乳食を飲み込むことや、舌ざわりや味に慣れるための時期です。まずは、「食べることに慣れる」ことが大切です。離乳食を食べる様子を見ながら、あせらずに少しずつ量や種類を増やしていきましょう。

離乳食の時期は、舌や消化機能の発達、歯の本数に応じて、初期(5~6ヵ月頃)、中期(7~8ヵ月頃)、後期(9~11ヵ月頃)、完了期(12~18ヵ月頃)の4つの時期に区分することができます。離乳食の時期ごとに離乳食のスケジュールや食べる量の目安を表にまとめました。赤ちゃんの成長に合わせて離乳食を進めていきましょう。

生後5ヵ月からの離乳食

10倍がゆから始めます。慣れてきたら、ジャガイモ、野菜や果物、さらに豆腐や白身魚、固ゆで卵の黄身などを与えます。滑らかにすりつぶした状態が目安です。

生後7ヵ月からの離乳食

1日2回食になります。穀類、野菜や果物、たんぱく質を多く含む食事を与えましょう。舌で潰せる固さが目安です。

生後9ヵ月からの離乳食

1日3回食に進みます。ホウレンソウや卵など、鉄分の多い食品を積極的に取ります。歯茎で潰せる固さが目安です。

完了期の離乳食

1日3回、その他1日1~2回、おやつをあげましょう。手づかみ食べや前歯で齧る練習を始めます。

卵を使った離乳食の進め方

卵は良質のたんぱく質が豊富なので、積極的に食べさせたい食材です。でも、食物アレルギーを起こすリスクがあるので、遅めに食べさせ始めるのがいいのでは?実は最近の研究では、アレルギーの原因になる食材を遅く食べさせても、食物アレルギー予防にはならないことが分かってきました。卵は生後5~6ヵ月頃から与えることが勧められています。

卵を使った離乳食の注意点

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」には、アレルギーの原因となる食材を与える時期を遅くしても、アレルギー予防に効果があるという科学的な根拠はないと書かれています。卵を食べ始めることを遅らせることで、逆にアレルギーのリスクを高める可能性があると考えられていて、離乳食初期の5~6ヵ月頃から卵を食べることが勧められています。それでも発疹などのアレルギー症状が心配であれば、すぐにお医者さんに連れて行けるよう、卵は平日の午前中に与えましょう。卵を食べた後は、注意して様子を観察しましょう。

卵をあげる時に注意したいポイント

  • たんぱく質(豆腐・白身魚・しらす)に慣れたら与える。

  • 衛生的に良くないので、生卵はあげない。

  • 沸騰してから中火でさらに15分茹でて固ゆで状態に。問題なければ、ゆで卵以外にも、しっかりと加熱した卵料理を与える。

  • 卵白の方がアレルギー反応が出やすいので、必ず卵黄から与える。

卵白を使うのは、離乳中期の7~8ヵ月頃、卵黄を1個分程度食べられるようになってからとしましょう。最初は固ゆでにした卵白を裏ごしし、食物アレルギーの心配があれば、卵黄と同様に念のため耳かき1杯程度の少量から試して、少しずつ増やしていきましょう。アレルギーのような症状が出たら、自分で判断せず、お医者さんに診てもらうことが大切です。

離乳食を進める時のポイント

栄養を摂るだけではなく、離乳食を飲み込むこと、色々な食材の舌ざわりや味に慣れてもらうことが、離乳食の開始の目的でもあります。赤ちゃんの成長にあわせて、量、固さ、種類を次第に変えていきながら、離乳食を進めていきましょう。

離乳食初期は1日1回だけ与えます。まだまだ栄養は母乳やミルクからが基本です。授乳のタイミングに合わせて母乳やミルクを十分に与えましょう。

小さじ1の10倍がゆからはじめる

離乳食開始1週間目は、アレルギーの心配の少ないおかゆから始めます。初めはなめらかにすりつぶした10倍がゆから始めます。赤ちゃんの様子を見ながら1さじずつ、あせらずにゆっくりと進めていきましょう。

食べ方に合わせ、形状や固さを変える

離乳食を始めてから、いつまでもやわらかいものや小さいものばかり与えていると、「噛む」意欲や機能が発達しません。形状や固さは急に変えるのではなく、今までの形状の中に次の段階の形状を少しずつ混ぜながら、離乳食を進めていきましょう。パサついたり飲み込みにくそうな時には、だし汁やミルクなどの水分でのばしたり、片栗粉などを使ってとろみをつけましょう。

月齢別の離乳食の固さや大きさの目安は以下の通りです。

時期

離乳食の固さや大きさ

離乳前期 (5~6ヵ月頃) 

なめらかにすりつぶした状態(ポタージュ状)

離乳中期 (7~8ヵ月頃)

舌でつぶせる固さ (豆腐くらい、みじん切り)

離乳後期 (9~11ヵ月頃)

歯茎でつぶせる固さ (バナナくらい)5~8㎜角、スティック状

離乳完了期 (12~18ヵ月頃)

歯茎でかめる固さ (肉団子くらい)1㎝角、
スティック状

 

食べさせる食材を少しずつ増やしてみる

離乳食の初期は、口を閉じて飲み込むことが大切な時期。赤ちゃんは生まれて初めて母乳やミルク以外のものを口にします。最初は戸惑ったり、うまく飲み込めなかったりするのは当たり前。あせらず、楽しい雰囲気で少しずつ進めていきましょう。食べる量も少ないので、食後の母乳やミルクも欲しがるだけ与えます。

最初は10倍がゆで始めますが、慣れてきたらじゃがいもやニンジン等の野菜を試しましょう。さらに慣れたら豆腐や白身魚、固ゆでにした卵黄など、毎日少しずつ、量や種類を増やしていきましょう。

初めての食材を与えるときは1日に1種類ずつ、様子をよく見ながら進めていきます。離乳食開始1週間で大さじ2杯程度を目安に、少しずつ増やしていきましょう。離乳食を開始して1~2ヵ月が過ぎ、おかゆ・野菜・豆腐や白身魚などのたんぱく質が食べられるようになったら、2回食に回数を増やします。問題なく喜んで食べていれば、1日ごとに1さじずつ増やしましょう。ただ、よく食べるからといって、1度に多くの量を与えることは避けましょう。

さらに慣れてきたら、つぶした豆腐・白身魚・卵黄などを試してみます。月齢に応じた量を参考にして、料や食材の数を増やしていきましょう!

離乳食を与えるときに注意するべきこと

離乳食を与える時に注意するべきことは何でしょう?まずは、赤ちゃんが機嫌の良いときに離乳食を始めることが基本です。ママが忙しくなくリラックスしている時間帯で、授乳の前に離乳食を与えます。離乳食をあげたら、赤ちゃんの機嫌や便の様子をしっかりと観察しておきましょう。食べたがらなくても決して無理強いはせず、優しく話しかけながら、楽しく離乳食を進めていきましょう。

また、赤ちゃんはウイルスなどに対する抵抗力がまだ弱いです。調理をする時には、以下のことに気を付けましょう。

□清潔に調理する

・調理前には必ず石鹸で手をていねいに洗う。

・食品も水洗いできるものはよく洗う。

・調理器具はていねいに洗い、清潔に扱う。

□加熱調理を行う

・食品は十分加熱する(中心温度が85℃以上になるように)。

・手際よく調理して細菌の繁殖を防ぐ、食べ残しは与えない。

・調理後は常温に放置せず、なるべく早く与える、食べ残しは基本、あげないように。

・作り置きした離乳食の保存目安は、冷蔵で24時間まで、冷凍で1週間まで。

アレルギーに注意する

食物アレルギーの発症を心配して、離乳食の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果はないとの報告があります。 赤ちゃんに下痢や湿疹の症状がある場合や、離乳食開始後アレルギーが疑われる場合には、自己判断せずに必ず医師の診断を受け、アドバイスをもらいましょう。

はちみつと黒砂糖は乳児ボツリヌス症の原因となるので、1歳を過ぎるまでは与えないようにしましょう。

アレルギーの症状が出たら、お医者さんに相談しましょう。自己判断をせず、お医者さんの指示に従い、離乳食を進めていきましょう。

適切な量を心がける

1日1品 、小さじ1杯(5cc)の離乳食用スプーンで少しずつ食べさせます。 2~3日は同じ量で、その後に1さじずつ増やしていきましょう。初めての食品をあげるときも、小さじ1杯からが基本です。離乳食の量の目安については、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000497123.pdf)を参考にしてください。母子手帳にも掲載されています。

よくある質問

消化機能の発達を考慮すれば、離乳食の開始は生後4ヵ月後以降としましょう。離乳食を早く開始し過ぎると、過体重や肥満のリスクにつながるという研究結果があります。

まとめ

生まれてから母乳やミルクなど液体だけを飲んでいた赤ちゃんが、私たち大人と同じように固形の食事を少しずつ食べるようになっていく過程を離乳と呼びます。離乳食を始めるこの時期に、食べ物を舌でつぶす、噛み潰して飲み込む、といった食べる機能を学び、食べさせてもらうことから自分で食べることを学びます。

離乳食を始めたら、食事や生活リズムを作っていくことが大切です。一日の生活リズムを意識しながら、離乳食や授乳、ミルクの時間や回数などを決めていきましょう。

赤ちゃんはいつも元気にパクパクと食べてくれるわけではありません。よく食べる日もあれば、食べない日もあります。なんでもスムーズにいくわけではありません。赤ちゃんが嫌がるときには無理強いはしないで、離乳食を通じて食べる楽しさを教えてあげてくださいね。

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