
夜のおむつの中 では何が起こっ ているの?
赤ちゃんの肌を守りたいすべてのママとパパへ

おむつかぶれはなぜ起こる? 原因と対策

赤ちゃんの肌は、きめが細かくうるおっているように見えますが、実はとてもデリケートです。皮膚の厚さは大人の半分ほどしかなく、うるおいを保つ機能や外部刺激に対する必要なバリア機能はあるものの、ベストな状態とはいえず徐々に成長していきます。
生後4か月頃までは、ママから受け継いだホルモンの影響で皮脂が比較的多く分泌されます。しかし、その後は皮脂の分泌量が減少し、大人の3分の1程度になるため、肌は乾燥しやすい状態になります。
一方で、汗をつくる汗腺の数は大人とほぼ同じです。そのため赤ちゃんは汗をかきやすく、また外部からの刺激にも弱いため、汗疹(あせも)やかぶれなどの肌トラブルにつながりやすいのです。

赤みが出たり、ポツポツとした汗疹ができているわけではないけれど、さわるとねっとりペタペタしている――。
それは、おむつの中がムレている証拠。大人であれば放っておいても問題ない場合でも、赤ちゃんの肌はデリケートなため、ムレによってふやけ、外からの刺激を受けやすい状態になっているかもしれません。
とくに、長時間おむつを替えずに過ごす夜間は、おむつ内の環境が肌に与える影響が大きくなり、放っておくと肌のふやけを招く可能性があります。朝、赤ちゃんのおしりがペタペタしていたら、肌への負担が高まっているサインです。

一般に、おむつかぶれとはどのような肌の状態をさすのでしょうか。「おむつかぶれ」と一言でいっても、症状の現れ方はさまざまです。以下の項目にあてはまるものがある場合は、おむつかぶれの可能性があります。あてはまる項目をチェックしてみましょう。
□ 肛門やおむつがあたる部分が敏感になり、うっすら赤く、触ると熱を持っている。
□ 赤ちゃんがおしりを気にし、かゆそうにしている
□ 赤いポツポツ(発疹)ができたり、ガサガサと乾燥したりする
□ おしり拭きで拭いたり、お湯をかけると泣いたりする
□ 発疹が広がり、おしっこのたびに泣く
□ 皮膚がむけ、ただれ、じくじくし、一晩中泣いている
※症状の現れ方には個人差があります。

①サウナと同じ!? ムレやすい湿潤な環境
おむつの中は、赤ちゃんの体温や汗、おしっこによって、あたたかく湿った状態になりやすい環境です。1回のおしっこで、おむつの中はミストサウナと同じくらいの湿度に到達し、湿度が下がりにくいといわれています。ですから、おむつ交換の回数が減る夜中に、おしっこをした場合、ムレによって肌がふやけて刺激を受けやすくなり、その結果、おむつかぶれのリスクが高まります。
おむつの中がもっともムレやすいのは、大量の汗をかく夏です。おむつかぶれやほかの皮膚炎を併発することも少なくありません。しかし、注意が必要なのは夏だけではありません。冬場も暖房の効いた室内や衣服の着せすぎによって、赤ちゃんが知らないうちに汗をかいていることがあります。そのため、季節を問わず、おむつの中をできるだけ快適な状態に保つことが、赤ちゃんの肌トラブル予防につながります。

②摩擦や拭きすぎによる刺激
首がすわり、背中や腰の筋肉がついてくる頃から、赤ちゃんはよく動くようになります。眠っている間も寝返りをしたり、足をバタバタさせたりするたびに、おむつは肌の表面をいったりきたり。適切なサイズのおむつを着用していれば、それほど心配することはありませんが、おむつのサイズが合っていない場合は、摩擦によって肌がダメージを受けてしまいます。
摩擦はおしり拭きによっても起こります。おしりを清潔に保とうとして、ゴシゴシこすると、それ自体が肌への刺激になることも。
このように赤ちゃんの肌は摩擦に弱いのですが、とくに気をつけたいのが、おむつの中がムレて肌がふやけているときです。ふやけた肌は刺激を受けやすくなっているため、生地とこすれて摩擦が加わると、ダメージを受けて、おむつかぶれを引き起こしやすくなります。

③おしっこ・うんちによる刺激
おしっこやうんちは、おむつかぶれの大きな原因のひとつです。おしっこは、排出された直後は弱酸性から中性ですが、おむつの中で時間が経つと細菌の働きによってアルカリ性に傾きます。アルカリ性になったおしっこは肌への刺激となり、長時間触れ続けることで肌荒れをつながりやすくなります。
一方、うんちには大腸菌をはじめとする腸内細菌や、食べ物を分解するための消化酵素が含まれています。これらの成分が肌に付着すると刺激となり、とくに肌がふやけている状態ではダメージを受けやすくなります。なかでも下痢状のうんちは水分が多く広がりやすいうえ、消化酵素も多く含まれているため、肌への刺激が強く、おむつかぶれを起こしやすくなります。
とくに夜間はおむつ交換の回数が減るため、おしっこやうんちが肌に触れている時間が長くなりがちです。おしっこやうんちによる刺激と、おむつ内のムレや摩擦が重なることで、おむつかぶれはさらに起こりやすくなるのです。

①吸水性が高いおむつを選ぶ
おむつかぶれを防ぐためには、おしっこや汗による余分な水分をできるだけ肌に残さないことが大切です。こまめなおむつ交換とともに、吸水性の高いおむつを使うことが対策になります。吸水性の高いおむつは、おしっこ漏れを防ぐだけでなく、おむつ内のムレを軽減し、肌をさらさらの状態に保ちやすくするメリットもあります。
紙おむつには替え時を知らせる交換サインがついていますが、赤ちゃんもおしっこやうんちのときは泣いたり、急に静かになったり、そわそわするなどの態度で知らせてくれます。赤ちゃんからのサインをしっかり受け取って、おむつを替えるようにしましょう。

②夜は夜用おむつを使う
紙おむつは、水分を閉じ込める吸水体と通気性のよいシートにより、いったん吸い取った水分を外に出さず、漏れにくいのが特徴です。そのように吸収力に優れているため、日中使っているおむつを夜間もそのまま使用することもあるのではないでしょうか。
しかし、夜間は、おむつ交換の回数が減り、前述の通りムレにさらされる時間が長くなります。漏れない場合でもおしっこを溜め込んだパンパンのおむつで長時間過ごしてしまうことは、肌のためにあまりよいことではありません。夜は、長時間使用を想定して開発された夜用おむつのほうが安心です。

③肌あたりのよいおむつがおすすめ
入浴やおしり拭きの後に保湿ケアが推奨されているのは、肌からの水分蒸発が抑えられ、乾燥対策になるほか、肌がコーティングされるので、おむつとの摩擦による刺激からも肌を守ることができるというメリットがあります。近頃は、ワセリンなどのエモリエント剤を配合した、肌に刺激の少ない夜用おむつも登場しています。エモリエント剤は油分で肌を覆い水分の蒸発を防ぎ、肌を柔らかく整える役割があり、摩擦を軽減するのに効果的です。おむつかぶれの予防として取り入れてみてはいかがでしょうか。

④うんち後は早めにおむつを交換
おむつの中でうんちをしてしまった場合は、肌を守るために早めのおむつ交換が求められます。おしりの部分だけを洗う座浴か、お尻拭きでやさしく拭き取り、肌表面が濡れていないことを確認してから、新しいおむつを履かせてください。新生児のうちは排便回数が多いのでおむつ交換は大変ですが、徐々に回数は減っていきます。
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おむつかぶれは、軽いうちであればおむつ替えや保湿ケアでよくなることがありますが、症状が強い場合や、なかなか改善しない場合は、皮膚科や小児科に相談しましょう。赤みが広がっている、ジュクジュクしている、ブツブツが増えている、痛がっておむつ替えを嫌がるといった場合は、炎症が悪化している可能性があります。また、おむつかぶれだと思っていても、カンジダなど別の肌トラブルの場合もあります。自己判断で悪化させないためにも、気になる症状が続くときは、早めに医師に相談することが大切です。

おむつかぶれは、おしっこやうんちの刺激、摩擦によって肌のバリア機能が弱くなることによって引き起こされます。うんちやおしっこはちゃんと出てほしいもの。一方で、ムレや摩擦といった環境からは、いま使っているおむつを見直すことで、かぶれの原因を減らせる場合もあります。
おむつかぶれは、放っておくと将来的な肌トラブルにつながる可能性がありますが、この時期から、その子にとって適切なおむつ環境を整えていくことで、減らせるリスクがたくさんあります。
赤ちゃんは、日々さまざまな刺激を受けながら成長していきます。よく食べ、よく動き、充分な睡眠をとるなかで、肌は少しずつ外部刺激に対応する力をつけていきます。おむつかぶれが目の前の子どもをよく知るきっかけになるとよいですね!

修:小西真絢(巣鴨千石皮ふ科院長)
皮膚科専門医
2017年に巣鴨千石皮ふ科開院。 おむつかぶれの子どもを診察することも多く、皮膚のことは何でも相談できるホームドクターを目指している。2児の母でも。


